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フグ毒関連化合物の多様性を可視化するメタボロミクス解析ワークフローを開発

Toxicon 2026年5月28日
周防 玲 専任講師・糸井 史朗 教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 質量分析データ解析ソフトウェアMS-DIALを利用したフグ毒関連化合物解析のワークフローを構築した
  • フグ、ヒラムシ、ヒモムシ、イモリに本手法を適用し、それぞれに含まれる毒成分を比較した
  • 従来は経験に依存していたTTXアナログ解析の再現性向上と、未知のTTX関連化合物探索への応用が期待される

研究の背景

フグ毒として知られるテトロドトキシン(TTX)は、フグだけでなく、ヒラムシ、ヒモムシ、イモリなど多様な生物群から発見されています。TTXには構造が少しずつ異なる多数の関連化合物(TTXアナログ)が存在しており、生物ごとの毒成分の違いや、未知の関連化合物の探索は、毒の蓄積機構や生態学的役割を理解するうえで重要です。

一方で、TTXアナログの多くは分析の基準となる純粋な化合物を用意することが難しく、従来は質量分析データを研究者が手作業で確認しながら判定する必要がありました。そのため、解析には時間と専門的な知識が必要であり、研究機関ごとに結果が異なる可能性もありました。

こうした背景から、生物種間でTTX関連化合物を比較したり、未知の関連化合物を探索したりするための、再現性の高い標準化された解析手法の確立が求められていました。

Toxicon誌の表紙

掲載誌 Toxicon の表紙

研究成果

本研究では、質量分析データ解析ソフトウェア MS-DIAL を活用し、TTXおよびTTXアナログを効率的かつ再現性高く解析するためのワークフローを開発しました。

さらに、フグ、ヒラムシ、ヒモムシ、イモリといった系統的に異なる有毒生物に本手法を適用し、それぞれに含まれるTTX関連化合物のプロファイルを比較しました。その結果、多くの主要なTTX関連化合物が複数の生物種で共通して検出されることが明らかになりました。また、未知のTTX関連化合物と考えられるピークも検出され、TTX関連化合物の多様性がさらに広がる可能性が示されました。

LC-MSとMS-DIALを用いたTTXアナログ解析ワークフロー

LC-MSとMS-DIALを用いたTTXアナログの自動アノテーションワークフロー

本ワークフローにより、従来は研究者の経験に依存していたTTXアナログの解析を、より再現性高く実施できるようになります。研究機関間での解析結果のばらつきを減らし、生物種間の比較や未知TTX関連化合物の探索を進めやすくなることが期待されます。

MS-DIALを用いて可視化したフグ毒関連化合物の解析結果

図1: MS-DIALを用いて可視化したフグ毒関連化合物の解析結果

今後の展開

本手法は、さまざまな生物に含まれるTTX関連化合物を効率的かつ再現性高く解析することを可能にします。今後は、生物種ごとの毒成分の違いを詳細に比較することで、TTX関連化合物の多様性や、毒の蓄積・変換に関わる仕組みの解明につながることが期待されます。

また、未知のTTX関連化合物を探索するための基盤としても活用でき、海洋生物に含まれる毒成分の網羅的な理解に貢献することが期待されます。

論文情報

項目 内容
論文タイトル MS-DIAL-Based Metabolomic Profiling of Tetrodotoxin and Its Analogues in Toxic Marine Organisms
著者 Yuki Horita, Rei Suo, Ryo Yonezawa, Makoto Hirayama, Shiro Itoi
掲載誌 Toxicon
発表日 2026年5月28日(オンライン版)
DOI 10.1016/j.toxicon.2026.109167

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