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日本産ムツ属魚類3種を判別可能なPCR-RFLP分析法

Ichthyological Research 2020年1月24日
糸井 史朗 准教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 日本列島周辺海域のムツ属魚類3種を判別可能なPCR-RFLP法を開発した
  • 3種のcytochrome b遺伝子配列の違いを検出し、高確率で種同定できた
  • 既報の16S rRNA遺伝子配列にもとづく手法と組み合わせることで誤判定を回避できた
  • 本手法により与那国島近海で漁獲されたムツ属魚類を種判別できた

研究の背景

ムツ属魚類は日本の重要な水産資源であり、ムツ、クロムツ、および未記載種の3種が日本列島周辺海域に生息しています。しかし、これらの3種は形態が類似しており、特に幼魚や加工品の状態では外見からの判別が困難でした。正確な種判別は、資源管理や食品表示の適正化のために重要です。

研究方法

ミトコンドリアDNAのcytochrome b遺伝子領域をPCR増幅し、制限酵素で切断するPCR-RFLP法を開発しました。この手法により、DNA断片のバンドパターンの違いから3種を判別します。

PCR-RFLP分析によるムツ属魚類3種の電気泳動パターン

図1: PCR-RFLP分析によるムツ属魚類3種の電気泳動パターン。制限酵素処理後のDNA断片のバンドパターンの違いにより、3種を明確に判別できる。

研究成果

新たに開発したPCR-RFLP法は、ムツ属魚類3種のcytochrome b遺伝子配列の違いを正確に検出し、高確率で種同定ができることが示されました。また、既報の16S rRNA遺伝子配列にもとづく手法と組み合わせた2段階判定により、誤判定を回避できることも確認されました。

本手法を実際の漁獲物に適用し、与那国島近海で漁獲されたムツ属魚類の種判別に成功しました。これにより、水産資源管理や食品表示の適正化にも貢献できる実用的な手法であることが実証されました。

ムツ属魚類3種の外観とPCR-RFLP分析のフローチャート

図2: ムツ属魚類3種(クロムツ、ムツ、未記載種)の外観と、2段階のPCR-RFLP分析による種判別のフローチャート。Step 1でcytochrome b遺伝子、Step 2で16S rRNA遺伝子を用いて確実に判別する。

今後の展開

本手法は、漁獲物の正確な種判別だけでなく、加工品や胃内容物からの種同定にも応用可能です。これにより、ムツ属魚類の資源動態のより正確な把握や、食品偽装の防止にも貢献できます。

論文情報

項目 内容
論文タイトル Tandem PCR-RFLP analysis helps distinguish among three Japanese gnomefish (Teleostei, Scombropidae, Scombrops)
著者 Shiro Itoi, Minori Tanaka, Yukako Mochizuki, Hikaru Oyama, Shu Togawa, Riko Yamada, Takeshi Ito, Hirotoshi Shishido, Yasuji Masuda, Koko Abe, Shizuko Nakai, Noriyuki Takai, Haruo Sugita
掲載誌 Ichthyological Research Vol. 67, 197–202
発表日 2019年7月23日
DOI 10.1007/s10228-019-00705-w

お問い合わせ

増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)

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