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トビウオの飛翔行動を直接計測することに初めて成功

Aquatic Biology 2013年5月9日
牧口 祐也 助教 魚群行動計測学研究室

研究成果のポイント

  • 超小型加速度計(マイクロデータロガー)をトビウオに取り付けて、その飛翔行動を室内水槽で初めて直接計測した
  • 飛翔時の姿勢角度および尾鰭の振動数を詳細に記録した
  • データロガーの装着位置によって姿勢角度や尾鰭の振動数に変化がないことから、トビウオは周辺環境によって飛翔行動を制御している可能性が示された

研究の背景

トビウオは水面から尾鰭の振動による推進力によって空中に飛び出し、胸鰭を使って滑空する(飛翔行動)ことが知られています。このように水面に飛び出すことにより、トビウオはシイラなどの捕食者から効果的に逃れることができるのではないかと考えられています。

しかし、トビウオの飛翔行動の「いつ」「どこで」起きるか正確にはわかっておらず、過去には連続写真撮影などの間接的なものでしか計測が行われていませんでした。

実験方法

2010年から2011年にかけて千葉県の館山シーワールドで実施しました。トビウオの背鰭に返しのない釣り針で固定した超小型加速度データロガー(マイクロデータロガー)を装着したのちに、大型水槽(約10m × 幅5m × 深さ7.5m)へ放流しました。トビウオが水槽に追われて飛翔行動が観察されたら再度捕獲し、新たなトビウオにデータロガーを装着するという作業を繰り返し、計13尾のトビウオの飛翔行動の加速度データを計測しました。

データロガーはトビウオの重心下部(10尾)と重心上部(3尾)の位置にそれぞれ装着し、姿勢角度や尾鰭の振動数について比較しました。

背鰭に加速度データロガーを装着したトビウオ

図1: 背鰭に超小型加速度データロガー(マイクロデータロガー)を装着したトビウオ

研究成果

加速度データロガーによる直接計測の結果、飛翔行動時のトビウオの姿勢角度は 20.0 ± 3.3度、尾鰭の振動数は 21.2 ± 4.6 Hz であることが明らかになりました。この振動数から推定された飛び出し速度は 3.9〜5.2 m/s であり、過去に高速写真撮影で推定された値(姿勢角度: 30.0度、飛び出し速度: 10.0 m/s)より低い値でした。

また、データロガーの装着位置(重心上部・下部)によって姿勢角度や尾鰭の振動数に差がみられなかったことから、トビウオは水面から飛び出す際に自ら発揮する力を周辺環境に応じて調整している可能性が示唆されました。

トビウオの飛翔時の加速度と姿勢角度のデータ

図2: トビウオが水面から飛び出した瞬間の尾鰭の左右方向の加速度(赤線)と姿勢角度(青線)。飛翔直前に尾鰭の振動が急激に増加し、飛び出しと同時に姿勢角度が変化する様子が記録された。

今後の展開

トビウオがなぜ水面から飛び出して滑空するのか、確かな理由は明らかとなっていません。トビウオは表層魚にもかかわらず非常に大きな目を持っていることから、トビウオの視野角度や視認性といった検出機能について調べることが、飛翔行動の理由についても明らかになるかもしれません。

論文情報

項目 内容
論文タイトル Take-off performance of flying fish Cypselurus heterurus doederleini measured with miniature acceleration data loggers
著者 Yuya Makiguchi, Kouta Kuramochi, Shizuka Iwane, Takahito Kojima, Yasuhiko Naito
掲載誌 Aquatic Biology 18, 105-111
発表日 2013年4月3日
DOI 10.3354/ab00494

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