研究の背景
サクラマスには、海に下る降海型と河川に留まる残留型(ヤマメ)の2つの生活史型があります。残留型は体が小さく産卵行動で不利ですが、繁殖に成功することが知られています。そのメカニズムとして精子の質に着目しました。
研究成果
降海型と残留型の精子を比較した結果、残留型の精子速度・精子運動性は河川水中では降海型より高い一方、体腔液中では両者に差がみられませんでした。また、降海型の精子速度・精子運動性・精子寿命は河川水よりも体腔液中で上昇することが明らかになりました。
これらの結果から、産卵行動で不利な立場に置かれている残留型の雄は、游泳速度の速い精子を産み出すことで繁殖における競争上の不利益を補っている可能性が示唆されました。

図1: 残留型と降海型のサクラマスにおける精子速度の比較。河川水中では残留型が有意に高い精子速度を示した。

図2: サクラマスの残留型と降海型の精子パラメータの比較。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Reproductive investment patterns and comparison of sperm quality in the presence and absence of ovarian fluid in alternative reproductive tactics of masu salmon, Oncorhynchus masou |
| 著者 | Yuya Makiguchi, Mitsuru Torao, Takahito Kojima, Trevor E. Pitcher |
| 掲載誌 | Theriogenology 86(9), 2189-2193.e2 |
| 発表日 | 2016年7月21日 |
| DOI | 10.1016/j.theriogenology.2016.07.009 |
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魚群行動計測学研究室 牧口 祐也 専任講師