研究の背景
フグの仔魚が捕食者に食べられてもすぐ吐き出される現象は以前から知られていましたが、それが本当に母親由来のフグ毒によるものかは議論が残っていました。本研究では、野生親魚由来の有毒仔魚と、無毒餌で育てた養殖親魚由来の無毒仔魚を比較し、毒の役割を直接検証しました。
研究成果
野生のクサフグ親魚から得た仔魚は有毒であった一方、無毒餌で育てた養殖無毒親魚から得た仔魚は無毒であることが確認されました。また、フグ毒は有毒仔魚の体表でのみ観察され、養殖親魚由来の仔魚では検出されませんでした。
捕食魚は無毒仔魚をそのまま飲み込みましたが、有毒仔魚は即座に吐き出す行動を示しました。この結果から、体表に局在した母親由来のテトロドトキシンが捕食を阻止する防御機能を果たすことが直接的に実証されました。

図1: 捕食魚によるクサフグ仔魚の捕食実験。有毒仔魚では捕食後すぐに吐き出される反応が見られた。

図2: クサフグ仔魚の体表に局在するテトロドトキシン。母親由来の毒が仔魚防御に関与することを示す。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Role of maternal tetrodotoxin in survival of larval pufferfish |
| 著者 | Shiro Itoi, Miwa Suzuki, Kiyoshi Asahina, Eitaro Sawayama, Junki Nishikubo, Hikaru Oyama, Mitsuki Takei, Nanae Shiibashi, Tomohiro Takatani, Osamu Arakawa, Haruo Sugita |
| 掲載誌 | Toxicon 148, 95-100 |
| 発表日 | 2018年4月17日 |
| DOI | 10.1016/j.toxicon.2018.04.014 |
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増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)