研究の背景
日本列島周辺海域のムツ属魚類は、長らくムツとクロムツの2種が知られていました。しかし、九州南部から沖縄北方の海域で漁獲された個体群の中に、耳石形質の異なる群が見つかり、隠れた種の存在が疑われていました。
研究成果
九州南部から沖縄北方にかけて漁獲されたムツ属魚類を調べたところ、耳石重量/体長比の異なる2群が検出されました。mtDNA配列を解析した結果、ムツとクロムツとは別に、両種と明確に異なる未記載種の存在が確認されました。
この未記載種は主に体長55 cm以上の大型個体に含まれており、日本近海のムツ属魚類の種組成の再検討が必要であることが示されました。

図1: ムツ属魚類3種におけるPCR-RFLPパターン。未記載種を含む群の識別に利用された。

図2: 日本近海のムツ属魚類と未記載種の関係を示す模式図。ムツとクロムツに加え、第3の系統の存在が示された。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Species composition of the genus Scombrops (Teleostei, Scombropidae) in the waters around the Japanese Archipelago: detection of a cryptic species |
| 著者 | Shiro Itoi, Yukako Mochizuki, Minori Tanaka, Hikaru Oyama, Tadasuke Tsunashima, Riko Yamada, Hirotoshi Shishido, Yasuji Masuda, Shizuko Nakai, Noriyuki Takai, Hideto Fukushima, Koko Abe, Takahito Kojima, Haruo Sugita |
| 掲載誌 | Mitochondrial DNA Part A 29(8), 1293-1300 |
| 発表日 | 2018年2月28日 |
| DOI | 10.1080/24701394.2018.1445243 |
お問い合わせ
増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)