研究の背景
サンゴ礁の浅海に生息するシャコガイは、強い日射と紫外線に常時さらされながらも、外套膜内で褐虫藻と共生しています。光を取り込みつつ有害な紫外線を防ぐため、どのような防御機構を備えているのかが大きな研究課題でした。
研究成果
シャコガイには10種以上のマイコスポリンアミノ酸が含まれており、主要成分は mycosporine-glycine と palythine であることが確認されました。UV顕微鏡と質量分析イメージングを用いることで、これら天然サンスクリーン物質の組織内局在を可視化することに成功しました。
紫外線を強く吸収する成分は外套膜の表層付近に集中しており、内部とは異なる分布パターンを示しました。この結果から、シャコガイが日焼け止め物質を用途に応じて使い分ける巧みな適応戦略をもつことが示唆されました。
図1: シャコガイ外套膜におけるマイコスポリンアミノ酸の局在。質量分析イメージングとUV観察により、表層での紫外線防御を可視化した。
図2: サンゴ礁浅海に生息するシャコガイ。強い紫外線環境下で外套膜を展開して生活する。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Mass spectrometry imaging reveals differential localization of natural sunscreens in the mantle of the giant clam Tridacna crocea |
| 著者 | Naoko Goto-Inoue, Tomohiko Sato, Mizuki Morisasa, Hiroshi Yamashita, Tadashi Maruyama, Hiroki Ikeda, Ryuichi Sakai |
| 掲載誌 | Scientific Reports 10, 656 |
| 発表日 | 2020年1月20日 |
| DOI | 10.1038/s41598-019-57296-9 |
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生物機能化学研究室 井上 菜穂子(いのうえ なおこ)