研究の背景
オオツノヒラムシやツノヒラムシなどのツノヒラムシ属は、フグ毒として知られるテトロドトキシンを保有することが知られています。一方、ヒラムシ類全体のどの系統にフグ毒が分布するのかはよく分かっておらず、フグ毒の起源や蓄積機構を考えるうえで大きな課題でした。
研究成果
葉山沿岸で採取した無吸盤亜目ヒラムシ類について、28S rRNA 遺伝子と COI 遺伝子の配列にもとづく系統解析を行った。あわせて LC-MS/MS によりテトロドトキシンの有無を調べ、系統樹上にフグ毒保有種の分布を重ね合わせた。
その結果、フグ毒を保有していたのはオオツノヒラムシとツノヒラムシを含むツノヒラムシ属の特定系統に限られていた。フグ毒保有種が特定の系統に集約されたことから、フグ毒の蓄積や保持に関わる共通遺伝子群を持つ可能性が示唆された。
図1: 葉山沿岸で採取した無吸盤亜目ヒラムシ類の代表個体。多様な分類群を対象にフグ毒保有の有無を比較した。
図2: 28S rRNA 遺伝子にもとづく無吸盤亜目ヒラムシ類の系統樹。フグ毒保有種がツノヒラムシ属の特定系統に集中していることを示す。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Taxonomic Distribution of Tetrodotoxin in Acotylean Flatworms (Polycladida: Platyhelminthes) |
| 著者 | Maho Kashitani, Taiki Okabe, Hikaru Oyama, Kaede Noguchi, Haruka Yamazaki, Rei Suo, Tetsushi Mori, Haruo Sugita, Shiro Itoi |
| 掲載誌 | Marine Biotechnology 22(6), 805-811 |
| 発表日 | 2020年5月15日 |
| DOI | 10.1007/s10126-020-09968-1 |
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増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)