研究の背景
神奈川県のヤマメ・アマゴ個体群は、長年の放流や人工構造物による分断の影響を受け、在来個体群が残っているかどうかの判断が難しくなっていました。保全の前提となる基礎情報を得るため、相模川水系と酒匂川水系で採集された個体群の形態学的特徴と遺伝的特徴を調べました。
研究成果
2017年から2018年にかけて 20 地点で採集した 469 個体を調べ、ヤマメ型、アマゴ型に加えて中間的な特徴をもつ個体を確認した。ミトコンドリアDNA制御領域の解析では 6 つのハプロタイプが検出され、両水系で主要ハプロタイプが共有されていた。
神奈川県の個体群は遺伝的にはアマゴに近く、アマゴを母系祖先にもつ集団である可能性が示唆された。ハプロタイプ多様度とヌクレオチド多様度が低く、Fst 値も高かったことから、地域個体群の遺伝的多様性が低下している可能性が示された。
図1: 神奈川県で採集されたヤマメ型、アマゴ型、および中間的形態を示す個体の比較。
図2: 相模川水系・酒匂川水系の採集地点と、ミトコンドリアDNA制御領域にもとづくハプロタイプネットワーク。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Genetic and morphological characteristics in the local population of the landlocked salmon Oncorhynchus masou originally distributed in Kanagawa Prefecture, Japan |
| 著者 | Taiki Okabe, Naoyuki Suguro, Tomoko Koito, Kento Endo, Haruo Sugita, Shiro Itoi |
| 掲載誌 | Marine Biotechnology 22, 812-823 |
| 発表日 | 2020年6月3日 |
| DOI | 10.1007/s10126-020-09975-2 |
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増殖環境学研究室 岡部 泰基(おかべ たいき)・糸井 史朗(いとい しろう)