研究の背景
一般に淡水魚の精子は低浸透圧の水中で運動を開始し、海水中では運動しないと考えられています。一方、しまなみ地域の汽水池では海水環境に近い場所にメダカが多数生息しており、海水中でも繁殖できる仕組みがあるのではないかと考えられました。
研究成果
- しまなみ地域の海棲メダカを海水条件で飼育したところ、海水中でも産卵し、高い受精率が確認された
- 淡水で飼育した個体の精子は海水中で運動しなかったが、海水へ順応させると海水中でも運動能を示すようになった
- 同じmtDNAハプロタイプをもつ淡水隔離集団でも同様の現象が見られ、海水中での精子運動能は遺伝形質というより表現型可塑性に近いと考えられた
- 広塩性魚類が繁殖環境を柔軟に変化させる仕組みを理解するうえで重要な知見となった

図1: 海棲メダカの生息環境と実験に用いた個体

図2: 海水順応の有無による受精率とふ化率の比較
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Acclimation to sea water allows activation of spermatozoa of a euryhaline fish Oryzias latipes |
| 著者 | Eitaro Sawayama, Tadashi Koyanagi, Nana Tanabe, Yuya Makiguchi |
| 掲載誌 | Environmental Biology of Fishes 105(6), 787-794 |
| 発表日 | 2022年6月7日 |
| DOI | 10.1007/s10641-022-01285-x |
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海洋生物生理学研究室 澤山 英太郎(さわやま えいたろう)