← 研究成果一覧に戻る

イタヤガイ類はフグ毒TTXを保有しやすい

Marine Biotechnology 2023年1月19日
安川 詩乃 M2・糸井 史朗 教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • イタヤガイ類がTTX を保有しやすいことが分かった
  • アカザラガイ類はEFSA が定める出荷規制基準値を超える高濃度の個体が確認された
  • 三陸沿岸のアカザラガイのTTX 濃度は春から夏頃にかけて減少した

研究の背景

(研究背景) 二枚貝は、有毒プランクトンを吸入することで体内に毒素を蓄積するため、麻痺性貝毒 (PSP)や下痢性貝毒(DSP)などの食中毒が発生します。しかし近年は、これらの貝毒に 加え、フグ毒(TTX)による食用二枚貝の予期せぬ毒化が世界中で問題となっています。

研究成果

日本各地で採取した二枚貝のTTX検出調査を行った結果、イタヤガイ類がTTXを保有しやすいことが明らかになりました(図1)。なかでもアカザラガイ類にはEFSA(欧州食品安全機関)が定める出荷規制基準値を超える高濃度のTTXを保有する個体が確認されました。

三陸沿岸で採取したアカザラガイのTTX濃度を季節ごとに追跡したところ、春から夏にかけて濃度が低下する傾向が見られました。この季節変動は、餌となるTTX産生生物の密度変化や貝自身の生理状態の変化と関連している可能性があります。

地球温暖化の進行に伴い海水温が上昇すると、TTX産生生物の分布域が拡大し、二枚貝の毒化リスクが今後さらに高まる可能性が示唆されました。

二枚貝分類群ごとのTTX保有傾向を示す模式図

図1: 二枚貝の分類群による TTX 保有傾向の違いと、イタヤガイ類で高濃度蓄積が起こりやすいことを示す図

論文情報

項目 内容
論文タイトル Tetrodotoxin Detection in Japanese Bivalves: Toxification Status of Scallops
著者 Shino Yasukawa, Kyoko Shirai, Kaho Namigata, Masaaki Ito, Mei Tsubaki, Hikaru Oyama, Yukino Fujita, Taiki Okabe, Rei Suo, Shouzo Ogiso, Yukina Watabe, Hajime Matsubara, Nobuo Suzuki, Makoto Hirayama, Haruo Sugita, Shiro Itoi
掲載誌 Marine Biotechnology 25(5), 666-676
発表日 2023年1月17日(オンライン版)
DOI 10.1007/s10126-023-10199-3

お問い合わせ

増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)

現在の教員プロフィール

研究成果発表当時の肩書・所属と、現在の教員情報は異なる場合があります。