← 研究成果一覧に戻る

産卵に参加しているクサフグにおけるTTX類の濃度

Marine Drugs 2023年3月29日
浅野 真希 M2・糸井 史朗 教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • クサフグ産卵個体群のTTX 類の濃度には地域差が認められ、その局在は雌雄差が顕著で あった
  • クサフグのオスはTTX を皮膚と肝臓に、5,6,11-trideoxyTTX(TDT)を皮膚に多く蓄積し ていたのに対し、メスはTTX とTDT を卵巣と皮膚に多く蓄積していた
  • 全身のTTX/TDT 比は、オスで2 前後、メスで1 強であった。

研究の背景

(研究背景) フグ科魚類の多くは、フグ毒(TTX)を保有しています。5 月から7 月の新月・満月の日 前後に海岸に集合し、産卵を行う習性を持つクサフグも多量のTTX を保有することが知ら れています。

研究成果

産卵に参加するクサフグ個体群のTTX類濃度を日本各地で調べた結果、地域によって有意な差があることが明らかになりました(図1)。また、TTX類の体内局在は雌雄間で顕著に異なっていました。

オスはTTXを皮膚と肝臓に、5,6,11-trideoxyTTX(TDT)を皮膚に多く蓄積していたのに対し、メスはTTXとTDTをともに卵巣と皮膚に多く蓄積していました。全身における毒量比(TTX/TDT比)はオスで約2、メスで1強となり、雌雄間でTTXとTDTの蓄積バランスにも差が見られました。

これらの結果は、クサフグにおいてTTX類の分布様式が繁殖行動や性に密接に関連していることを示しており、TTXの生態学的役割を考えるうえで重要な知見です。

産卵に参加するクサフグと体内TTX量変化の模式図

図1: 産卵に参加するクサフグの様子と、雌雄で異なる TTX 類の放出・減少要因の模式図

論文情報

項目 内容
論文タイトル Levels of Tetrodotoxins in Spawning Pufferfish, Takifugu alboplumbeus
著者 Masaki Asano, Chihiro Ishizaki, Taiga Tomonou, Masato Kihara, Masaaki Ito, Shino Yasukawa, Kyoko Shirai, Hikaru Oyama, Shin Izawa, Reona Kawamura, Kanae Saito, Rei Suo, Ryota Nakahigashi, Masaatsu Adachi, Toshio Nishikawa, Haruo Sugita, Shiro Itoi
掲載誌 Marine Drugs 21(4), 207
発表日 2023年2月25日(オンライン版)
DOI 10.3390/md21040207

お問い合わせ

増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)

現在の教員プロフィール

研究成果発表当時の肩書・所属と、現在の教員情報は異なる場合があります。