研究の背景
(研究背景) フグ科魚類の多くは、フグ毒(TTX)を保有しています。5 月から7 月の新月・満月の日 前後に海岸に集合し、産卵を行う習性を持つクサフグも多量のTTX を保有することが知ら れています。
研究成果
産卵に参加するクサフグ個体群のTTX類濃度を日本各地で調べた結果、地域によって有意な差があることが明らかになりました(図1)。また、TTX類の体内局在は雌雄間で顕著に異なっていました。
オスはTTXを皮膚と肝臓に、5,6,11-trideoxyTTX(TDT)を皮膚に多く蓄積していたのに対し、メスはTTXとTDTをともに卵巣と皮膚に多く蓄積していました。全身における毒量比(TTX/TDT比)はオスで約2、メスで1強となり、雌雄間でTTXとTDTの蓄積バランスにも差が見られました。
これらの結果は、クサフグにおいてTTX類の分布様式が繁殖行動や性に密接に関連していることを示しており、TTXの生態学的役割を考えるうえで重要な知見です。

図1: 産卵に参加するクサフグの様子と、雌雄で異なる TTX 類の放出・減少要因の模式図
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Levels of Tetrodotoxins in Spawning Pufferfish, Takifugu alboplumbeus |
| 著者 | Masaki Asano, Chihiro Ishizaki, Taiga Tomonou, Masato Kihara, Masaaki Ito, Shino Yasukawa, Kyoko Shirai, Hikaru Oyama, Shin Izawa, Reona Kawamura, Kanae Saito, Rei Suo, Ryota Nakahigashi, Masaatsu Adachi, Toshio Nishikawa, Haruo Sugita, Shiro Itoi |
| 掲載誌 | Marine Drugs 21(4), 207 |
| 発表日 | 2023年2月25日(オンライン版) |
| DOI | 10.3390/md21040207 |
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増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)