研究の背景
(研究背景) フグ毒であるテトロドトキシン(TTX)はフグ類だけでなく、イモリなどの両生類やヒョ ウモンダコなどの頭足類、オオツノヒラムシなどが保有する強力な神経毒として知られて います。これらフグ毒保有生物の多くは自身でフグ毒を生合成することができないため、海 洋細菌から始まる食物連鎖により、フグ毒を自身の体内に蓄積していると考えられていま す。
研究成果
日本各地で採取されたフグ類稚魚を分析したところ、類縁化合物の5,6,11-trideoxyTTX(TDT)よりもTTXを高濃度で保有していることが明らかになりました。また、これらフグ類稚魚の消化管内容物からオオツノヒラムシのCOI遺伝子が検出され、稚魚がオオツノヒラムシを摂食している実態が示されました(図1)。
オオツノヒラムシの幼生を与えて毒化させたフグ類稚魚では、TDTに比べてTTXが2倍以上多く蓄積しており、TTXが優先的に体内へ保持されていることが確認されました。
これらの結果から、フグ類稚魚はTTXをその類縁化合物よりも選択的に蓄積する体内機構を有している可能性が示唆されました。フグ毒の地域差を生じさせる要因として、摂餌源だけでなくフグ自身の選択的蓄積能力が関与していると考えられます。

図1: オオツノヒラムシ幼生の摂餌後、フグ類稚魚は TTX を TDT より多く蓄積することを示す模式図
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Geographical differences in the composition of tetrodotoxin and 5,6,11-trideoxytetrodotoxin in Japanese pufferfishes and their origins |
| 著者 | Masaaki Ito, Kyoko Shirai, Hikaru Oyama, Shino Yasukawa, Masaki Asano, Masato Kihara, Rei Suo, Haruo Sugita, Ryota Nakahigashi, Masaatsu Adachi, Toshio Nishikawa, Shiro Itoi |
| 掲載誌 | Chemosphere 336, 139214 |
| 発表日 | 2023年6月14日(オンライン版) |
| DOI | 10.1016/j.chemosphere.2023.139214 |
お問い合わせ
増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)