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フグ類におけるTTX類の組成の地域差とその起源

Chemosphere 2023年6月16日
伊藤 正晟・糸井 史朗 教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 日本各地で採取されたフグ類稚魚は5,6,11-trideoxyTTX よりもTTX を高濃度に保有して いた。
  • フグ類稚魚の消化管内容物からオオツノヒラムシのCOI 遺伝子が検出された。
  • 毒化させたフグ類稚魚はTDT よりもTTX を2 倍以上多く保有した。

研究の背景

(研究背景) フグ毒であるテトロドトキシン(TTX)はフグ類だけでなく、イモリなどの両生類やヒョ ウモンダコなどの頭足類、オオツノヒラムシなどが保有する強力な神経毒として知られて います。これらフグ毒保有生物の多くは自身でフグ毒を生合成することができないため、海 洋細菌から始まる食物連鎖により、フグ毒を自身の体内に蓄積していると考えられていま す。

研究成果

日本各地で採取されたフグ類稚魚を分析したところ、類縁化合物の5,6,11-trideoxyTTX(TDT)よりもTTXを高濃度で保有していることが明らかになりました。また、これらフグ類稚魚の消化管内容物からオオツノヒラムシのCOI遺伝子が検出され、稚魚がオオツノヒラムシを摂食している実態が示されました(図1)。

オオツノヒラムシの幼生を与えて毒化させたフグ類稚魚では、TDTに比べてTTXが2倍以上多く蓄積しており、TTXが優先的に体内へ保持されていることが確認されました。

これらの結果から、フグ類稚魚はTTXをその類縁化合物よりも選択的に蓄積する体内機構を有している可能性が示唆されました。フグ毒の地域差を生じさせる要因として、摂餌源だけでなくフグ自身の選択的蓄積能力が関与していると考えられます。

フグ類稚魚におけるTTX類の選択的蓄積を示す模式図

図1: オオツノヒラムシ幼生の摂餌後、フグ類稚魚は TTX を TDT より多く蓄積することを示す模式図

論文情報

項目 内容
論文タイトル Geographical differences in the composition of tetrodotoxin and 5,6,11-trideoxytetrodotoxin in Japanese pufferfishes and their origins
著者 Masaaki Ito, Kyoko Shirai, Hikaru Oyama, Shino Yasukawa, Masaki Asano, Masato Kihara, Rei Suo, Haruo Sugita, Ryota Nakahigashi, Masaatsu Adachi, Toshio Nishikawa, Shiro Itoi
掲載誌 Chemosphere 336, 139214
発表日 2023年6月14日(オンライン版)
DOI 10.1016/j.chemosphere.2023.139214

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増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)

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