研究の背景
マダイは「尾頭付き」で供されることに価値があるため、その姿形が経済的価値に結びつく。 天然個体は尾鰭の先端がピンと尖っており見栄えが良いが、養殖魚の尾鰭の先端は丸まっ ており、このような形態的な違いを持って養殖魚と天然魚が区別される。
研究成果
養殖マダイの尾鰭は天然魚と比べると黒ずみ、辺縁部が欠けている個体(欠損個体)が多く見られます(図1)。一方、尾鰭の形が綺麗に保たれている個体(正常個体)も存在し、欠損個体の尾鰭には細菌感染の特徴が認められることから、尾鰭末端の欠損には何らかの細菌が関与していると予想されました。
そこで欠損個体と正常個体の尾鰭細菌叢をハイスループットシークエンサーによるメタゲノム解析で属レベルまで特定し、さらに16S rRNA遺伝子クローンライブラリ法による種の同定を試みました。その結果、正常個体ではSulfitobacter属細菌が有意に多く、欠損個体ではVibrio属細菌が多い傾向が見られ、それぞれSulfitobacter sp.とVibrio harveyiであることが特定されました。
飼育密度の高さやストレス・噛み合いなどによって尾鰭に傷が生じ、そこへV. harveyiが増殖して治癒を遅らせている可能性が示唆されました。また、Sulfitobacter sp.については尾鰭の健全性維持に寄与するプロバイオティック効果が期待されます。

図1: 正常個体と欠損個体で異なる養殖マダイの尾鰭形状
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Metagenomic profile of caudal fin morphology of farmed red sea bream Pagrus major |
| 著者 | E Sawayama, M Takahashi, SI Kitamura |
| 掲載誌 | Diseases of Aquatic Organisms 155, 79-85 |
| 発表日 | 2023年6月23日(オンライン先行公開) |
| DOI | 10.3354/dao03742 |
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海洋生物生理学研究室 澤山 英太郎(さわやま えいたろう)