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シャコガイはリンのない膜脂質を褐虫藻から借りて利用する

iScience 2023年8月20日
井上 菜穂子 准教授 生物機能化学研究室

研究成果のポイント

  • ヒメジャコガイの組織に褐虫藻特有の膜脂質DGCC が分布することを発見
  • シャコガイは褐虫藻からDGCC を受け取り自らの膜脂質に変換・利用する
  • リンや窒素が少ないサンゴ礁でシャコガイが繁栄するメカニズム解明に期待

研究の背景

熱帯海域の海は過酷な日光にさらされ、窒素やリンなどの栄養塩の供給が乏しいことか ら、海の砂漠とも形容されますが、サンゴ礁海域はオアシスのごとく多種多様な生物を育ん でいます。「なぜサンゴ礁では生物がここまで繁栄できるのか」、という疑問はダーウインが 最初に提唱したといわれ、ダーウインのパラドクス(矛盾)とも呼ばれています。

研究成果

ヒメジャコガイの組織を質量分析イメージングで解析した結果、褐虫藻に特有の膜脂質であるDGCC(ジアシルグリセロールカルボキシメチルコリン)が、シャコガイの組織に広く分布していることを発見しました。

シャコガイは共生する褐虫藻からDGCCを受け取り、自らの細胞膜脂質へと変換・利用していることが明らかになりました。DGCCはリンを含まない膜脂質であるため、栄養塩が乏しいサンゴ礁環境においてシャコガイがリンを節約しながら繁栄できるメカニズムの解明につながると期待されます。

本研究内容は、iScience の表紙に採用されました。(https://www.cell.com/issue/S2589-0042(23)X0008-X#closeFullCover)

iScience誌の表紙に採用されたヒメジャコガイ

図1: 本研究に関連して iScience 誌の表紙に採用されたヒメジャコガイ

論文情報

項目 内容
論文タイトル Smart utilization of betaine lipids in the giant clam Tridacna crocea
著者 Ryuichi Sakai, Naoko Goto-Inoue, Hiroshi Yamashita, Naoya Aimoto, Yuto Kitai, Tadashi Maruyama
掲載誌 iScience 26(7), 107250
発表日 2023年6月28日
DOI 10.1016/j.isci.2023.107250

お問い合わせ

生物機能化学研究室 井上 菜穂子(いのうえ なおこ)

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