研究の背景
サケの産卵行動では、オスが体側筋を震わせる求愛行動によってメスの産卵を促進します。しかし、どのメスに対して求愛行動が強く行われるのか、また産卵が近づくにつれてその行動がどのように変化するのかは十分に分かっていませんでした。本研究では、サケ雌雄1ペアを実験水槽に入れ、オスに加速度データロガーを装着して求愛行動の回数と振幅を測定するとともに、水槽上部から撮影した映像から雌雄間の距離を解析しました。その結果、産卵直前には求愛行動の回数と振幅が低下し、雌雄の距離は大きくなる一方、雌雄の体サイズが近いペアでは求愛時の距離が最も近づくことが明らかになりました。
研究成果
本研究では、サケ雌雄1ペアを実験水槽に入れ、オスに加速度データロガーを装着して求愛行動を定量的に分析しました。その結果、産卵直前にはオスの求愛行動の回数と振幅が低下し、雌雄の距離が大きくなる傾向が見られました。オスの求愛行動は産卵が近づくにつれて変化することが示唆されました。
また、雌雄ともに体サイズの大きい個体を好む傾向があることが示されました。さらに、雌雄の体サイズが近いペアでは求愛時の距離が最も接近することが確認されました(図1)。この結果は、サケにおけるサイズ型同類交配の可能性を示唆するものです。
これらの成果は、サケの繁殖生態と配偶者選択の仕組みを理解するうえで重要な知見であり、行動生態学的な観点からサケ資源の管理にも貢献します。

図1: 求愛行動時の重複距離と雌雄の体長比の関係
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Changes in courtship prior to oviposition in chum salmon (Oncorhynchus keta) and male preference for female body size |
| 著者 | Kyosuke Seki, Masaki Ichimura, Nozomi Ihara, Yuya Makiguchi |
| 掲載誌 | Ecology of Freshwater Fish 33(2), e12762 |
| 発表日 | 2023年11月29日(オンライン版) |
| DOI | 10.1111/eff.12762 |
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魚群行動計測学研究室 牧口 祐也(まきぐち ゆうや)