研究の背景
本研究では、絶滅危惧種であるニホンザリガニの効果的な保全のために、その移動パターン と行動圏を理解することを目的とし、パッシブ統合型トランスポンダー(PIT)タグシステ ムを用いて長期的な追跡調査を行った。その結果、ニホンザリガニの移動には体サイズ依存 性と季節性があることが明らかになった。
研究成果
本研究では、PITタグシステムを用いて絶滅危惧種であるニホンザリガニの移動パターンを初めて長期的に追跡しました。その結果、移動には季節性と体サイズ依存性があることが明らかとなりました(図1)。
ニホンザリガニは主に上流方向への移動を示し、その移動距離は体サイズの増加に伴って拡大しました。総移動範囲は約69mで、上流方向に最大47.4m、下流方向に最大21.6m移動することが確認されました。さらに、オス個体では越冬期に下流方向への移動が観察されました。
本成果は、ニホンザリガニの効果的な保全策を立案するうえで重要な基礎知見を提供するものです。生息域の管理や個体群の維持に向けた科学的根拠として活用が期待されます。

図1: 頭胸甲部に PIT タグを装着したニホンザリガニ
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Movement patterns of Japanese crayfish revealed by long-term tracking with a passive integrated transponder tag system |
| 著者 | Yuya Makiguchi, Yukiyo Iimura, Katsuya Nakao, Hisaya Nii, Hiroshi Ueda, Mitsuhiro Nagata |
| 掲載誌 | Hydrobiologia 851(14), 3389-3401 |
| 発表日 | 2024年3月29日(日本時間) |
| DOI | 10.1007/s10750-024-05503-8 |
お問い合わせ
魚群行動計測学研究室 牧口 祐也(まきぐち ゆうや)