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琉球列島のフグ毒保有魚の毒化にツノヒラムシ属ヒラムシが関与する

Marine Biotechnology 2024年4月30日
上田 紘之 D3・糸井 史朗 教授 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 有毒ツノヒラムシ種のTTX 類の組成は互いに類似していたが、無毒ツノヒラムシ種から はTTX 類は検出されなかった。
  • TTX 類の組成の違いはミトコンドリアゲノム配列にもとづく系統関係を反映した。
  • 無毒クサフグにオオツノヒラムシの卵板を摂餌させて毒化させると、沖縄本島のクサフグ 稚魚で観察されるTTX 類の組成が再現された

研究の背景

フグ類は餌生物に含まれるフグ毒テトロドトキシン(TTX)を取り込んで毒化することが 知られています。近年、われわれの研究グループの研究により、わが国のフグ類の毒化には オオツノヒラムシの関与が大きいことが明らかになってきました。

研究成果

本研究では、琉球列島に生息するツノヒラムシ属のTTX類組成を分析しました。有毒ツノヒラムシ種間ではTTX類の組成が互いに類似していた一方、無毒ツノヒラムシ種からはTTX類が検出されませんでした。また、TTX類の組成の違いはミトコンドリアゲノム配列に基づく系統関係を反映しており、毒組成と進化的背景との関連が示唆されます。

摂餌試験では、無毒クサフグにオオツノヒラムシの卵板を与えて毒化させたところ、沖縄本島のクサフグ稚魚で実際に観察されるTTX類の組成が再現されました(図1)。ヒラムシの卵板を摂餌させたオキナワフグではすべてのTTX化合物のシグナル強度が増強されたのに対し、ツムギハゼではdeoxyTTXsのシグナル強度のみが増強されるという、魚種による違いも明らかとなりました。

これらの成果は、ツノヒラムシ属ヒラムシが琉球列島のフグ毒保有魚の毒化に寄与していることを強く示すものです。

ヒラムシ卵板によるクサフグ毒化試験のクロマトグラム

図1: オオツノヒラムシ卵板を用いた毒化試験がクサフグの TTX 類組成に及ぼす影響

論文情報

項目 内容
論文タイトル Japanese Planocerid Flatworms: Difference in Composition of Tetrodotoxin and Its Analogs and the Effects of Ingestion by Toxin-Bearing Fishes in the Ryukyu Islands, Japan
著者 Hiroyuki Ueda, Masaaki Ito, Ryo Yonezawa, Kentaro Hayashi, Taiga Tomonou, Maho Kashitani, Hikaru Oyama, Kyoko Shirai, Rei Suo, Kazutoshi Yoshitake, Shigeharu Kinoshita, Shuichi Asakawa, Shiro Itoi
掲載誌 Marine Biotechnology 26(3), 500-510
発表日 2024年4月17日(オンライン版)
DOI 10.1007/s10126-024-10312-0

お問い合わせ

増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)

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