研究の背景
近年、地球温暖化や人間活動に伴って、海洋生物の毒素に起因する食中毒の発生が広範囲 に増加しています。特に、二枚貝類はプランクトンなどの有機物を摂餌するため、麻痺性貝 毒、下痢性貝毒、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒などの食中毒を引き起こす可能性があります。
研究成果
本研究では、日本沿岸で採取された7種類の二枚貝を分析しました。その結果、イタヤガイ類からテトロドトキシン(TTX)が検出されました。LC-MSを用いた定性分析では、非常に高いTTXレベルを有するアカザラガイの1個体を除いて、他の二枚貝試料からは5,6,11-trideoxyTTXは検出されませんでした(図1)。
また、2022年11月に採取されたアカザラガイの消化管内容物からオオツノヒラムシのDNA断片が検出されました。この発見は、アカザラガイがオオツノヒラムシを捕食することでTTXを体内に取り込んでいる可能性を示唆しています。さらに実験室内での飼育の結果、三陸産のオオツノヒラムシは12月末まで産卵を続けることが確認され、年間を通じたTTX供給の継続性が示唆されました。

図1: アカザラガイ中腸腺、オオツノヒラムシ卵、および TTX 標品の LC-MS/MS スペクトル比較
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Compositions of tetrodotoxins in seven Japanese bivalve species/subspecies |
| 著者 | Kyoko Shirai, Kotone Nagahama, Anzu Hayashi, Shino Yasukawa, Kaho Namigata, Rei Suo, Shiro Itoi |
| 掲載誌 | Fisheries Science 91(3), 629-640 |
| 発表日 | 2025年3月6日(オンライン版) |
| DOI | 10.1007/s12562-025-01864-8 |
お問い合わせ
増殖環境学研究室 糸井 史朗(いとい しろう)