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X連鎖潜性遺伝を示すヒラメの眼位・体色異常

Aquaculture 2025年8月6日
澤山 英太郎 准教授 海洋生物生理学研究室

研究成果のポイント

  • 養殖ヒラメで、右眼の移動異常と無眼側着色を伴う形態異常が特定家系に集中して発生した
  • ゲノムワイド関連解析により、性染色体である第3染色体上に原因領域を特定した
  • 異常個体はすべてXX型であり、X連鎖潜性遺伝であることを証明した

研究の背景

養殖魚においても、家畜と同様に、成長の速さや病気への強さを基準とした 選抜育種が行われています。今回の研究対象であるヒラメも、50 年以上にわた る選抜育種によって、成長が早く病気に強い養殖系統が確立され、安定した供 給が可能となっています。

研究成果

骨格染色による観察の結果、異常個体では**右眼の移動に関与する骨(後側篩骨・偽正中棒状部)**の形成不全が確認され、眼位異常と無眼側着色(体色異常)が連動して生じることが示されました(図1)。

MIG-seqを用いたゲノムワイド関連解析では、正常個体と異常個体の遺伝的差異が性染色体である第3染色体上に集中していることが明らかとなりました。さらに遺伝的性判別では、正常個体の雌雄比がおおむね1:1であったのに対し、異常個体はすべてXX型であり、本形質がX連鎖潜性遺伝であることが証明されました(図2)。

原因候補領域には高インパクト変異を持つ5遺伝子が抽出され、その中でもpex5laが有力候補として挙げられています。本研究は、遺伝性の形態異常を分子レベルで特定した事例として、今後の養殖ヒラメの品質管理や選抜育種に資する成果です。

ヒラメ異常個体の眼位異常と骨格形成不全

図1: 異常個体で見られた眼位異常と、右眼移動に関わる骨の形成不全

候補遺伝子と既知疾患との対応表

図2: 原因候補領域から抽出された候補遺伝子のうち、pex5la が有力候補と推定された

論文情報

項目 内容
論文タイトル X-linked recessive ambicoloration with abnormal eye location in farmed Japanese flounder Paralichthys olivaceus
著者 Koshun Sato, Reo Koike, Eitaro Sawayama
掲載誌 Aquaculture 611, 743029
発表日 2025年8月5日
DOI 10.1016/j.aquaculture.2025.743029

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海洋生物生理学研究室 澤山 英太郎(さわやま えいたろう)

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