研究の背景
養殖魚においても、家畜と同様に、成長の速さや病気への強さを基準とした 選抜育種が行われています。今回の研究対象であるヒラメも、50 年以上にわた る選抜育種によって、成長が早く病気に強い養殖系統が確立され、安定した供 給が可能となっています。
研究成果
骨格染色による観察の結果、異常個体では**右眼の移動に関与する骨(後側篩骨・偽正中棒状部)**の形成不全が確認され、眼位異常と無眼側着色(体色異常)が連動して生じることが示されました(図1)。
MIG-seqを用いたゲノムワイド関連解析では、正常個体と異常個体の遺伝的差異が性染色体である第3染色体上に集中していることが明らかとなりました。さらに遺伝的性判別では、正常個体の雌雄比がおおむね1:1であったのに対し、異常個体はすべてXX型であり、本形質がX連鎖潜性遺伝であることが証明されました(図2)。
原因候補領域には高インパクト変異を持つ5遺伝子が抽出され、その中でもpex5laが有力候補として挙げられています。本研究は、遺伝性の形態異常を分子レベルで特定した事例として、今後の養殖ヒラメの品質管理や選抜育種に資する成果です。

図1: 異常個体で見られた眼位異常と、右眼移動に関わる骨の形成不全

図2: 原因候補領域から抽出された候補遺伝子のうち、pex5la が有力候補と推定された
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | X-linked recessive ambicoloration with abnormal eye location in farmed Japanese flounder Paralichthys olivaceus |
| 著者 | Koshun Sato, Reo Koike, Eitaro Sawayama |
| 掲載誌 | Aquaculture 611, 743029 |
| 発表日 | 2025年8月5日 |
| DOI | 10.1016/j.aquaculture.2025.743029 |
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海洋生物生理学研究室 澤山 英太郎(さわやま えいたろう)