研究の背景
深海熱水噴出域は高濃度の硫化水素を含む過酷な環境ですが、多くの無脊椎動物が高密度で生息しています。これまで、ヒポタウリンやチオタウリンなどのタウリン関連化合物が硫化水素の無毒化に関わると考えられてきましたが、その量と環境条件の関係は十分に整理されていませんでした。
研究成果
明神海丘の熱水域および非熱水域で採取した多毛類・甲殻類について、タウリン、ヒポタウリン、チオタウリンなどのタウリン関連化合物を定量しました。その結果、熱水の影響を強く受ける場所に同所的に生息する種どうしでも、タウリン関連化合物量は大きく異なることが明らかになりました。
一方で、硫化水素濃度が大きく異なる環境に生息する甲殻類間では有意差がみられない例もありました。これらの結果から、タウリン関連化合物量は環境中の硫化水素濃度だけでは説明できず、分類群ごとに異なる代謝・無毒化機構をもつ可能性が示されました。
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Taurine-related compounds and other free amino acids in deep-sea hydrothermal vent and non-vent invertebrates |
| 著者 | Tomoko Koito, Shuku Saito, Toshihiro Nagasaki, Shosei Yamakami, Toshiro Yamanaka, Kei Okamura, Hiroshige Inoue |
| 掲載誌 | Marine Biology 165, 185 |
| 発表日 | 2018年11月14日 |
| DOI | 10.1007/s00227-018-3442-8 |
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海洋環境学研究室 小糸 智子(こいと ともこ)