研究の背景
胎生板鰓類の一部は、子宮内で乳様物質を分泌し、胎仔に与える「子宮乳型」の繁殖様式を持っています。子宮乳は胎仔の急成長を支えると考えられてきましたが、その成分や機能、妊娠段階に伴う変化はほとんど分かっていませんでした。
研究成果
神奈川県藤沢市沿岸で採取した妊娠アカエイから、初期・中期・後期それぞれの子宮乳を回収し、粗成分、タンパク質、脂肪酸を比較した。子宮乳は妊娠初期に薄く、中期に最も濃くなり、タンパク質と脂質が大きく増加した。
全妊娠期を通じて、抗菌や鉄輸送に関わるタンパク質が検出され、胎仔の健康維持や呼吸補助への関与が示唆された。卵黄には乏しい脂肪酸や、軟骨形成・成長に関わるタンパク質も見つかり、子宮乳が胎仔の急成長を支えることが示された。

図1: アカエイにおける胎仔の形態を用いた妊娠段階の決定

図2: 妊娠段階に伴うアカエイ子宮乳の性状の変化
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Composition of uterine milk and its changes with gestational period in red stingrays (Hemitrygon akajei) |
| 著者 | Taito Kina, Tetsuya Masuda, Kiyoshi Asahina, Miwa Suzuki |
| 掲載誌 | Journal of Fish Biology 99(1), 240-252 |
| 発表日 | 2021年4月16日 |
| DOI | 10.1111/jfb.14716 |
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海洋生物生理学研究室 鈴木 美和(すずき みわ)