研究の背景
カマイルカ(Lagenorhynchus obliquidens)は日本の水族館でもよく知られる鯨類ですが、日本沿岸には外見の異なる2タイプがいることが古くから指摘されてきました。一方で、その差が本当に遺伝的背景に基づくのか、また両者がどのような分布を示すのかは十分に検証されていませんでした。
研究成果
- 全国の水族館で飼育されている野生由来個体と座礁個体から試料を集め、一塩基多型(SNP)を用いて集団構造を解析した
- その結果、日本沿岸域には遺伝的交流の乏しい2集団が存在し、一方は日本海に限定的、他方は太平洋から日本海に広く分布することが明らかになった
- 形態差は遺伝的分化と対応しており、日本海の環境変動が進んだ最終氷期以降に両集団が分岐した可能性が示された
- 本成果は、飼育下での繁殖管理や野生個体群の保全を考えるうえでも重要な基礎情報となる

図1: 外観も遺伝学的にも互いに異なる日本沿岸カマイルカの例(成熟メス)

図2: 二つのカマイルカ集団の分布。各集団に属する個体の割合を都道府県別に示している
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Genomics reveals a genetically isolated population of the Pacific white-sided dolphin (Lagenorhynchus obliquidens) distributed in the Sea of Japan |
| 著者 | Miwa Suzuki, Kaho Ohno, Eitaro Sawayama, Shin-Ichi Morinaga, Takushi Kishida, Teruyo Matsumoto, Haruhiko Kato |
| 掲載誌 | Molecular Ecology 32(5), 1131-1144 |
| 発表日 | 2022年11月28日 |
| DOI | 10.1111/mec.16797 |
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海洋生物生理学研究室 鈴木 美和(すずき みわ)