研究の背景
刺胞動物門花虫綱イソギンチャク目に属するヤツバカワリギンチャク上科にはヤツバカ ワリギンチャク科・カワリギンチャク科の2 科が属しています。本上科は、体の中の形態: 放射状に並ぶ隔膜とよばれる構造の配列がイソギンチャク類の中でも特異なグループであ るとともに、一部の種は非常に鮮やかな蛍光色を示すことで有名です。
研究成果
主に深海に生息するイソギンチャク目の一群であるヤツバカワリギンチャク上科 Actinernoidea が日本近海に11種分布することを明らかにしました(図1)。この種多様性は世界的にも類をみない高さであり、日本沿岸がこのグループの多様性中心地のひとつである可能性が示されました。
本研究には全国の水族館施設の協力が不可欠でした。10年以上にわたって多数の標本を収集・精査した結果、同上科の分類体系が大きく見直され、1新科・1新属・4新種が正式に記載されました。
「科」レベルでの新分類群の設立は非常に珍しく、分類学的にも極めて大きな成果です。日本の水族館と研究者が長年積み上げた協力関係がこの発見を可能にしました。

図1: 日本近海で確認されたヤツバカワリギンチャク上科の一部。新種を含む多様な種群
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Fluorescent Anemones in Japan—Comprehensive Revision of Japanese Actinernoidea (Cnidaria: Anthozoa: Actiniaria: Anenthemonae) with Rearrangements of the Classification |
| 著者 | Takato Izumi, Takuma Fujii, Kensuke Yanagi, Toshihiko Fujita |
| 掲載誌 | Diversity 15(6), 773 |
| 発表日 | 2023年6月13日(オンライン版) |
| DOI | 10.3390/d15060773 |
お問い合わせ
水族生態学研究室 藤井 琢磨(ふじい たくま)