研究の背景
東京大学の北川貴士教授と阿部貴晃特任研究員(研究当時)、福家真帆大学院生(研究当時) を中心とする研究グループは、クロマグロが若魚期初期に体温を急速に発達させ、その発達過 程には代謝産熱(注1)の発達が寄与していることを明らかにしました。 クロマグロは高い代謝産熱を保持することで、水温よりも高い体温を保つことができる内温 性魚類です。
研究成果
本研究では、クロマグロの若魚期初期に産熱能力が急速に発達し、これが体温形成の初期段階において重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
遊泳中の代謝速度・血合筋(赤筋)重量・心室重量が若魚期初期に特異的に増加することが確認され、これらの指標が高い産熱能力を裏づける根拠となりました(図1)。クロマグロは内温性魚類として水温よりも高い体温を保つことができますが、本研究ではその能力がいつ・どのように発達するかを初めて定量的に示しました。
本成果は、マグロ類の内温性が進化した過程や、大型化による熱保持との関係を考えるうえで重要な新知見であり、今後の生態研究や水産利用への応用も期待されます。

図1: 若魚期の成長に伴って広がる、クロマグロの体温と水温の差の時系列
論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Juvenile-specific high heat production contributes to the initial step of endothermic development in Pacific bluefin tuna |
| 著者 | Takaaki K. Abe, Maho Fuke, Ko Fujioka, Takuji Noda, Hiroyuki Irino, Yoshikazu Kitadani, Hiromu Fukuda, Morten Bo Søndergaard Svendsen, John Fleng Steffensen, Takashi Kitagawa |
| 掲載誌 | Frontiers in Physiology 16, 1512043 |
| 発表日 | 2025年5月29日 |
| DOI | 10.3389/fphys.2025.1512043 |
お問い合わせ
魚群行動計測学研究室 阿部 貴晃(あべ たかあき)