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魚の免疫が教えてくれたIgM抗体と腸内環境の知られざる関係

Nature Microbiology 2025年7月28日
柴﨑 康宏 専任講師 水圏生物病理学研究室

研究成果のポイント

  • ニジマスをモデルに、分泌型IgMが腸内細菌叢の恒常性維持と代謝調節に関与することを示した
  • IgMを欠損させると腸内細菌の侵入、組織障害、体重減少、代謝産物の変化が生じることを明らかにした
  • 実験的腸炎では菌血症と敗血症性ショックによる高い死亡率が確認され、sIgMの保護機能が示された

研究の背景

私たちの体は、多様な微生物と共生することで恒常性を保っています。中でも、分泌型免疫グロブリ ン(sIg)による腸内細菌叢のコーティングは、どの細菌が腸内に定着するか、またその代謝活性に深く 関与しています。

研究成果

本研究では、ニジマスをモデルに、分泌型IgM(sIgM)が腸内細菌叢の恒常性維持と代謝調節に果たす役割を明らかにしました(図1)。

IgMを欠損させた個体では、腸内細菌の粘膜層への侵入・組織障害・体重減少・代謝産物の変化といった複数の異常が生じることが示されました。さらに実験的に腸炎を誘発した条件では、菌血症と敗血症性ショックによる高い死亡率が確認され、sIgMが感染防御において重要な保護機能を果たしていることが明らかとなりました。

これらの成果は、魚類における腸管免疫の仕組みを理解するうえで重要な基盤となるとともに、養殖魚の健康管理や疾病対策への応用が期待されます。

IgMが魚類の腸内細菌叢と代謝を調節することを示す概要図

図1: IgM が魚類の腸内細菌叢の恒常性と代謝を調節することを示す概要図

論文情報

項目 内容
論文タイトル Secretory IgM regulates gut microbiota homeostasis and metabolism
著者 Yang Ding, Alvaro Fernández-Montero, Amir Mani, Elisa Casadei, Ryuichiro Miyazawa, Congjin Zhou, Lise Chaumont, Marijan Posavi, Stephen D. Cole, Yasuhiro Shibasaki, Fumio Takizawa, Irene Salinas, J. Oriol Sunyer
掲載誌 Nature Microbiology 10(6), 1431-1446
発表日 2025年5月23日
DOI 10.1038/s41564-025-02013-8

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水圏生物病理学研究室 柴﨑 康宏(しばさき やすひろ)

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