← 研究成果一覧に戻る

日本各地のオオツノヒラムシからフグ毒関連成分を検出

Fisheries Science 2025年9月5日
周防 玲 専任講師 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 本州の5 つの地点(宮城県、石川県、茨城県、千葉県、静岡県)で採取したすべての オオツノヒラムシPlanocera multitentaculata からテトロドトキシン(TTX)と主要な関 連成分(5,6,11-trideoxyTTX、monodeoxyTTXs、dideoxyTTXs、11-norTTX-6(S)-ol)を 検出した。
  • 採取地域に関わらず、TTX と主要な関連成分は共通した毒組成比を示した。
  • オオツノヒラムシが日本列島全域でフグ類の毒化に関与する可能性を強く示した。

研究の背景

フグ毒として知られるテトロドトキシン(TTX)は、青酸カリの800倍を超える極めて強力な神経毒です。TTX を保有する海洋生物はフグ科魚類だけではなく、ツムギハゼ、ウモレオウギガニ、ヒョウモンダコ、ヒトデ類など多種にわたります。近年、オオツノヒラムシがフグ類の毒化に関与する有力な餌生物として注目されていましたが、日本各地の個体で毒組成がどの程度共通しているのかは明らかではありませんでした。

研究成果

本研究では、本州の5つの地点(宮城県・石川県・茨城県・千葉県・静岡県)で採取したオオツノヒラムシ Planocera multitentaculata を分析しました。その結果、すべての個体からテトロドトキシン(TTX)と主要な関連成分(5,6,11-trideoxyTTX、monodeoxyTTXs、dideoxyTTXs、11-norTTX-6(S)-ol)を検出しました。

採取地域に関わらず、TTXと主要な関連成分は共通した毒組成比を示しました。地域差よりも、TTXと5,6,11-trideoxyTTXを中心とする一定の毒組成比が優勢であることが確認され、体内で毒組成を維持する仕組みの存在が示唆されます(図1)。

本成果は、オオツノヒラムシが日本列島全域においてフグ類の毒化に関与している可能性を強く示すものであり、沿岸域における食の安全管理や毒素の循環機構を理解する上で重要な知見です。

各地点で得られたオオツノヒラムシにおけるTTX関連成分の組成比

図1: 各地点で得られたオオツノヒラムシにおける TTX およびその関連成分の組成比

論文情報

項目 内容
論文タイトル Distribution of tetrodotoxin and its analogs in the toxic flatworm Planocera multitentaculata from Honshu Island, Japan
著者 Rei Suo, Makoto Tanaka, Masaki Asano, Ryota Nakahigashi, Masaatsu Adachi, Toshio Nishikawa, Shouzo Ogiso, Hajime Matsubara, Nobuo Suzuki, Shiro Itoi
掲載誌 Fisheries Science 90(2), 319-326
発表日 2024年1月20日
DOI 10.1007/s12562-024-01754-5

お問い合わせ

増殖環境学研究室 周防 玲(すおう れい)

現在の教員プロフィール

研究成果発表当時の肩書・所属と、現在の教員情報は異なる場合があります。