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天然有機化合物の立体配置を微量試料から決定可能な分析手法を開発

Beilstein Journal of Organic Chemistry 2025年10月29日
周防 玲 専任講師 増殖環境学研究室

研究成果のポイント

  • 天然物の末端構造を分析可能な断片分子に構造変換する化学反応条件を確立した
  • 構造決定に必要な4種類の立体異性体を効率的に合成し、LC-MSによる一斉分離を実現した
  • 海洋由来の糸状菌から単離した微量天然物カプスラクトンに本手法を適用し、有用性を実証した

研究の背景

天然有機化合物(天然物)は医薬品や農薬開発において重要な化合物資源です。現在使用されている医薬品の多くは天然物に由来しており、新薬開発における天然物研究の重要性は今なお高まっています。しかし、天然物は複雑な3次元構造を持つことが多く、特に分子末端部に共通して見られる「3-メチルペント-4-エン-2-オール(MPO)構造」は立体配置の決定が難しいことが課題でした。

研究成果

本研究では、天然有機化合物の末端構造に共通して見られる「3-メチルペント-4-エン-2-オール(MPO)構造」の立体配置を微量試料から決定できる新しい分析手法を開発しました。

まず、天然物を化学反応によってMPO構造を含む小さな断片分子に変換する条件を確立しました。次に、得られた断片分子の候補となる4種類の立体異性体を網羅的に合成し、キラルLC-MSで一斉分離できる分析系を構築しました(図1)。

この手法を海洋由来糸状菌 Fusarium sp. から単離した天然物「カプスラクトン」に適用したところ、わずか100 µgという微量試料から立体配置を決定することに成功しました。本手法はMPO構造を含むさまざまな天然物に応用可能であり、微量試料でも信頼性の高い構造解析を実現する汎用的手法として、天然物研究の発展に貢献することが期待されます。

MPO構造の立体配置をキラルLC-MSで識別する手法の概略

図1: 化学分解・立体異性体合成・キラルLC-MS分析を組み合わせたMPO構造の立体配置決定法の概略

論文情報

項目 内容
論文タイトル A chiral LC–MS strategy for stereochemical assignment of natural products sharing a 3-methylpent-4-en-2-ol moiety in their terminal structures
著者 Rei Suo, Raku Irie, Hinako Nakayama, Yuta Ishimaru, Yuya Akama, Masato Oikawa, Shiro Itoi
掲載誌 Beilstein Journal of Organic Chemistry 21, 2243-2249
発表日 2025年10月23日
DOI 10.3762/bjoc.21.171

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増殖環境学研究室 周防 玲(すおう れい)

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