水産食品の加工・貯蔵に関する基礎・応用研究
水産資源が持つポテンシャルを最大限に引き出すため、分子レベルの基礎研究から社会実装を見据えた応用研究までを実施しています。イカや貝類等の軟体動物に含まれる「パラミオシン」に着目し、異種宿主を用いたリコンビナントタンパク質の調製を通じて、その熱安定性やゲル形成能といった加工特性を分子構造の観点から解析し、新たな食品素材としての可能性を追求しています。
また、流通過程における品質保持を目的とし、冷凍・冷蔵貯蔵中における魚介類筋肉タンパク質の分解・変性機構の解明に取り組んでいます。保存条件がタンパク質の物理化学的性質に与える影響を特定することで、鮮度維持技術の高度化を目指します。
また、魚肉の高度加工技術として「乳化すり身」の研究を推進しています。特に、咀嚼・嚥下困難者にも配慮したユニバーサルデザインフードへの応用を図り、水産資源を活用した次世代の機能性食品開発を行っています。
その他に、サケの成熟に伴うイクラの硬化現象、および調理工程におけるタンパク質変性と物性変化の相関を詳細に分析しています。
海洋生物の有効利用や安全性に関する研究
海洋生物資源の有効利用と食の安全性の向上を主眼に、分子生物学および食品科学的手法を用いた研究を展開しています。主要な研究課題の一つは、食の安全に寄与するアレルギー研究です。具体的には、主要なエビアレルゲンである「トロポミオシン」を対象とし、異種宿主発現系を用いてリコンビナントタンパク質として調製しています。得られたタンパク質を用いて抗原抗体反応を精緻に分析することで、アレルギー発症機構の解明や、より精度の高い診断・検知技術の確立を目指しています。
もう一つの柱は、水産資源の特性解明に関する研究です。各種魚類の筋肉部位ごとに、酸素保持や肉色に関与する「ミオグロビン」の含量および遺伝子発現量を解析しています。部位による生理的特性や品質の違いを科学的に評価することで、魚介類の最適な加工・保存条件の策定や、資源としての有効活用を推進しています。
こうした研究を通じ、水産化学の知見をもって食の質向上と、持続可能な食糧資源の活用に寄与していきます。